ブログ
子どもの歯の生え変わりトラブルと対処法
こんにちは。福岡県直方市の歯医者・小児歯科・矯正歯科「らいふ歯科クリニック」です。
お子さまの成長と共に訪れる大切な時期の一つが、乳歯から永久歯への生え変わりです。この過程は自然に進行することがほとんどですが、時には予期せぬトラブルが発生することもあります。今回は、歯の生え変わり時に起こりうる問題と、その対処法について詳しく解説します。
乳歯がぐらぐらして抜けそうなのに抜けない
お子様の乳歯がぐらぐらしているのに、なかなか抜けない状況は珍しくありません。多くの場合、これは正常な生え変わりの過程の一部です。原因としては、乳歯の根が完全に溶けていないことや、永久歯の位置や向きが理想的でないことなどが考えられます。このような場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。
経過観察
多くの場合は、時間が解決してくれます。ぐらぐらし始めてから1〜2週間程度で自然に抜けることが多いでしょう。
歯の周囲を清潔に保つ
ぐらぐらしている歯の周りは特に丁寧に歯磨きをし、清潔に保ちましょう。歯肉炎や感染のリスクを減らすことができます。
無理に抜かない
歯に糸を結びつけて引っ張って抜く、などの方法がSNSで広まっているようですが、この方法はおすすめできません。歯ぐきをいためるだけでなく痛みや出血を伴う可能性があるため、無理に抜こうとするのは避けましょう。食事をしっかりよく噛んで食べるようにすると、乳歯が抜ける程度の力が自然とかかります。
歯科医院への相談
乳歯が抜けそうなほどグラグラしているのに2週間以上経っても抜けない場合や、痛みや腫れがある場合は、歯科医院への相談をおすすめします。レントゲンを撮ってもらうことで、乳歯の下にある永久歯の位置や状態が分かります。
永久歯が乳歯の後ろから生えてきた(二重歯列)
乳歯がまだ抜けていないにもかかわらず、後ろから永久歯が生えてくる「二重歯列」も比較的よく見られる現象です。主な原因としては、永久歯の萌出方向が正常でないことや顎の成長が不十分で永久歯のスペースが足りないこと、乳歯の根の吸収が進んでいないことなどが挙げられます。このような場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。
経過観察
一時的に二重歯列になっていたとしても、時間の経過とともに乳歯が自然に抜け落ちて解決することもあります。
乳歯の抜歯
永久歯の正常な萌出を妨げている乳歯を、歯科医院で抜歯することもあります。
その他の注意点
永久歯の位置が大きくずれている場合や顎のスペースが不足している場合は、矯正治療が必要になることがあります。また、二重歯列の状態では歯磨きが難しくなるため、特に丁寧なケアが必要です。歯ブラシの毛先が届かない部分には歯間ブラシやデンタルフロス、ワンタフトブラシなどを使いましょう。乳歯がグラグラしはじめて1〜2週間ほど経っても抜けない場合は、必要に応じて適切な処置を行うために、歯科医院を受診しましょう。
乳歯が抜けたのに永久歯が生えてこない
乳歯が抜けた後、しばらくしても永久歯が生えてこない場合があります。主な原因としては、単純に永久歯の萌出が遅れていることがほとんどですが、稀に永久歯の先天的欠如(生まれつき永久歯がない)、永久歯の埋伏(顎の中に埋まったまま)、何らかの障害物(過剰歯、嚢胞など)が永久歯の萌出を妨げている事例もあるため注意深く観察することが大切です。このような場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。
経過観察
萌出遅延の場合、しばらく様子を見れば自然と生えてくることがほとんどです。しかし、3ヶ月ほど経過しても永久歯が生えて来ない場合は、その他のことが原因となっている可能性があります。歯科医院を受診してレントゲンを撮ってもらい、永久歯の有無や位置を確認しましょう。
先天的な疾患だった場合
埋伏歯の場合、歯科口腔外科で萌出誘導や牽引などの処置を行うことがあります。また、永久歯が先天的に欠如している場合、成長が完了した後にインプラントや義歯などの補綴治療を検討します。永久歯の欠如や位置異常によって噛み合わせの問題が生じている場合は、矯正治療が必要になることがあります。
いつまでたっても乳歯が抜けない(晩期残存乳歯)
永久歯が生えてくる時期を過ぎても乳歯が残っている状態を、晩期残存乳歯と呼びます。主な原因としては、永久歯の先天欠如や永久歯の萌出方向異常、顎の成長不足などが挙げられます。このような場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。
経過観察
永久歯の萌出が遅れているだけの場合もあるため、しばらく様子を見ることがあります。
抜歯
永久歯の萌出を妨げている場合や、周囲の歯並びに悪影響を与えている場合は、抜歯を検討します。
保存
永久歯が欠如している場合、乳歯を可能な限り長く保存することで、顎の骨を維持し、将来のインプラント治療などに備えることができます。
矯正治療
残存乳歯によって噛み合わせに問題が生じている場合は、矯正治療が必要になることがあります。
永久歯が本来と違う場所から生えてきた(萌出位置異常)
永久歯が正常な位置からずれて生えてくることがあります。主な原因としては、顎の成長不足、乳歯の早期喪失や晩期残存、口腔習癖(指しゃぶりなど)が挙げられます。このような場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。
萌出スペースの確保
永久歯の位置を適切に修正するため、矯正治療が必要になることがあります。この場合はスペース維持装置や拡大装置を用いて、永久歯の萌出スペースを確保します。
口腔習癖の改善
指しゃぶりなどの習癖がある場合、それを止めるための指導や装置の使用を検討します。
まとめ
歯の生え変わりは、お子様の成長における重要な過程です。多くの場合生え変わりは自然に進行しますが、時にはトラブルが発生することもあります。今回ご紹介したさまざまなケースと対処法を参考に、お子様の歯の健康を見守っていきましょう。もし気になる症状やご不安なことがある場合は、迷わず歯科医院にご相談ください。