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歯みがきは一日何回必要?小児歯科からのアドバイス

こんにちは。福岡県直方市の歯医者・小児歯科・矯正歯科「らいふ歯科クリニック」です。
「歯みがきは一日何回するべきですか?」という質問は、保護者の方から最もよく受ける質問の一つです。大人なら「朝・昼・夜の3回」という答えが一般的かもしれませんが、子どもの場合は年齢や生活リズム、そして歯みがきに対する慣れの度合いによって答えが変わってきます。特に乳歯が生え始めたばかりの時期は、むし歯予防よりも“習慣づけ”や“歯ブラシに慣れること”の方が重要です。
今回は、成長段階に応じた歯みがきの回数や方法、寝る前のケアの重要性について詳しく解説します。
歯みがきスタートは慣れることから
乳歯は、生後6か月ごろから下の前歯を皮切りに少しずつ生えてきます。「歯が生えてきたから、すぐにしっかり磨かなくちゃ!」と意気込む保護者の方も多いですが、最初から完璧を目指すと、子どもが強く嫌がってしまい、歯みがき=イヤな時間というマイナスイメージがついてしまうことがあります。
この時期の最大の目的は、むし歯を完璧に防ぐことよりも「歯ブラシを口に入れることに慣れる」ことです。乳歯が生えたばかりの頃は本数も少なく、むし歯のリスクは比較的低めです。磨く時間は短くてもかまいません。まずは、歯みがきが日常生活の中で自然に受け入れられるようにすることを目指しましょう。
機嫌の良いタイミングで短時間から
慣れ始めの時期は、時間帯や状況選びも大切です。たとえば、朝の着替えのあとやお風呂の中など、子どもが落ち着いていてリラックスしている時を狙って行うと成功しやすくなります。最初はほんの数秒でも構いません。この段階では“磨く”というよりも“歯ブラシを触れさせる”程度でOKです。歯ブラシを口に入れられたという経験を積み重ねることで、徐々に抵抗が減っていきます。
もし嫌がる場合は、柔らかいガーゼやシリコン製の歯ブラシで歯や歯ぐきをやさしく拭く方法もおすすめです。力を入れずに優しく行い、「怖いものではない」と感じてもらうことが第一歩です。
遊びを通して歯ブラシへの興味を育てる
子どもは大人の行動を真似するのが大好きです。保護者が楽しそうに歯みがきをしている様子を見せると、自然と興味を持つこともあるでしょう。また、歯ブラシをおもちゃ感覚で握らせたり、カミカミさせたりするのも良い方法です。
このような遊びを通して慣れさせることで、歯ブラシへの警戒心が薄れ、口に入れられる時間も少しずつ長くなっていきます。重要なのは、回数や時間よりも「歯みがき=楽しい・心地よい経験」という印象をつけることです。1日1回でも機嫌の良いタイミングで続けられれば十分なスタートです。その後、少しずつ回数を増やし、最終的には毎食後の歯みがきが習慣になるよう生活リズムを整えていくことが理想です。こうした“慣らし期間”をしっかり作っておくと、その後の歯みがき習慣がずっとスムーズになります。
寝ている間に起こる変化とむし歯のリスク

歯みがきの回数を考えるうえで忘れてはいけないのが、「夜、寝ている間の口の中の環境」です。私たちの口の中は、起きているときには唾液が常に分泌され、食べかすや酸を洗い流し、歯を守る働きをしています。しかし、眠っている間は唾液の分泌量が3分の1以下に減少し、口の中が乾燥気味になります。この状態は、むし歯菌にとって格好の繁殖環境です。
むし歯菌は、食べ物に含まれる糖分をエサに酸を作り、その酸が歯の表面(エナメル質)を溶かしていきます。特に乳歯はエナメル質が薄く、酸に弱いため、むし歯が進行するスピードが速いのが特徴です。寝る前に食べかすやプラーク(歯垢)が残っていると、長時間にわたり酸の攻撃を受け続けることになり、あっという間にむし歯ができてしまうことも珍しくありません。
さらに、寝る前の授乳やミルク、ジュースの習慣がある場合は注意が必要です。これらには糖分が含まれており、就寝中の口内に長時間とどまります。哺乳瓶をくわえたまま寝かせることは、“哺乳瓶う蝕”と呼ばれる重度のむし歯を招く原因にもなります。したがって、寝る前の歯みがきは「むし歯菌を減らし、夜間のリスクを最小限にする」ための最重要ポイントです。昼間の歯みがきが少し甘くても、寝る前だけは徹底してきれいにすることが、子どもの歯を守るカギになります。
寝る前の仕上げみがきは必須
寝る前の仕上げみがきは必ず保護者が行う、ということは非常に大切です。子どもが自分で歯みがきできるようになっても、6〜7歳くらいまでは手先の器用さや集中力が十分ではなく、どうしても磨き残しが多くなります。特に奥歯の噛み合わせ面や、歯と歯ぐきの境目、歯の間は汚れが残りやすい部位です。
仕上げみがきをする際は、歯ブラシの毛先を歯面にしっかり当て、小刻みに優しく動かします。力を入れすぎると歯ぐきを傷つけることがあるため、鉛筆を持つように軽く握るのがコツです。デンタルフロスも取り入れると、歯の間の汚れをより確実に除去できます。
仕上げみがきの時間は、家族の一日の終わりのルーティンとして組み込むのがおすすめです。お風呂→パジャマ→歯みがき→絵本→就寝、といった流れを作ると、子どもも自然に歯みがきを受け入れやすくなります。磨いた後は飲食せず、そのまま眠るようにしましょう。
寝る前の仕上げみがきを毎日続けることで、むし歯のリスクを大幅に減らすことができます。それは乳歯を守るだけでなく、永久歯が健康に生えてくるための土台作りにもつながります。
まとめ

歯みがきの理想的な回数は「毎食後」ですが、年齢や生活状況によって無理なく始めることが大切です。乳歯の生え始めは慣れることを目的にし、徐々に回数を増やしていきます。そして何よりも、寝る前の仕上げみがきは一日の中で最も重要なケアです。お子さんの歯の将来のためにも、寝る前の歯みがきは時間をかけて丁寧に行うよう心がけましょう。
お子さんのお口の中で気になることがある方は、福岡県直方市の歯医者・小児歯科・矯正歯科「らいふ歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
当院では、むし歯・歯周病の治療だけでなく、歯並びや噛み合わせの治療も行って健康で笑顔あふれる人生[らいふ]を送っていただけるよう努めています。0歳からのむし歯予防や小児の矯正治療なども対応しています。
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